Issue: February 2010
February 01, 2010
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‘Double bubble’法はDALKの安全性、効率を高める

新しい術式はデスメ膜の露出を容易にし、穿孔のリスクを低減する。

Issue: February 2010
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Jun Shimazaki
島﨑 潤医師

深層層状角膜移植においてbig bubble法の変法を用いることで、角膜実質からのデスメ膜の安全な分離を可能にする、と臨床医は述べた。

“double bubble”法は合併症を減らし、良好な視力予後をもたらす、と島﨑 潤医師(MD, PhD)は報告した。

“この新しい術式を取り入れることは、DALKがより安全で効率良く行われるのを助けると考える。”と島﨑医師は研究の要約の中で記している。

深層層状角膜移植 (DALK)は角膜瘢痕、ジストロフィ、円錐角膜およびヘルペス性角膜炎後が適応となり、駆逐性出血、眼内炎、内皮細胞減少および外傷性創傷離開などの合併症リスクが低下するため、全層角膜移植(PK)よりも望ましい、と島崎医師は述べた。

しかし、DALKの手術手技は難しく、デスメ膜穿孔リスクは39.2%に上る、と島崎医師は述べた。

“デスメ膜を安全に、かつ効率的に露出させることがDALK成功の鍵である”と彼は述べた。“big bubble法は広く使用されているものの、角膜実質に針を適切な深さに刺入するのが難しく、このため注入した空気が時折周辺角膜に広がってしまい、[デスメ膜]が分離されない欠点がある。”

本研究は1名のサージャンによりdouble bubble法でDALKが施行された11眼を対象とした。患者の男女比は9:2で、平均年齢は50.7歳(範囲27~72歳)、平均観察期間は16.6週であった。原疾患の内訳は、円錐角膜8眼、角膜瘢痕2眼、格子状角膜ジストロフィ1眼であった。

結果として、9眼においてdouble bubble法でデスメ膜露出が得られ、最終的に10眼でDALKが成功裏に施行された。デスメ膜のmicroperforationが2眼、macroperforationが1眼、二重前房が1眼に生じた。macroperforationの1眼はPKに変更した。術後logMAR矯正視力の範囲は0.1~1.0であった。

デスメ膜の分離

double bubble法は、Mohammad Anwar医師(MD)が考案したbig bubble法の変法であり、Gerrit Melles医師(MD)が開発した鏡面反射法と組み合わせたものである、と島崎医師は述べた。「空気表面で生じる反射像を観察することによって、デスメ膜を穿刺することなく針を実質の深層に挿入することができる。」と島崎医師は述べた。“これによって安全で効率的なデスメ膜の分離が可能になる。”

“しかし、Melles法と我々の術式との間には明白な相違がある。」と彼は述べた。「Melles法ではメスを[デスメ膜]のすぐ上に進める必要があるが、我々の術式では針をそこまで深く入れる必要がない。針が十分深く入っていれば、注入した空気は[デスメ膜]上の間隙にスムーズに入り込む。従って、我々の術式における[デスメ膜]へのアプローチは、Melles法ほど技術的な困難を伴わない。”

big bubble 法でも、デスメ膜を分離するために角膜実質に空気を注入するが、うまくデスメ膜の分離が得られない場合、角膜が白濁してその後の手術操作が妨げられる、というリスクがある。島崎医師は、big bubble 法の36%はデスメ膜の分離に失敗したという研究を引用した。

double bubble法では、2つの気泡、すなわち1つは前房内、もう1つは角膜実質中に気泡を作製する。前房内へ注入された空気注入は、針の深さの指標となるばかりでなく、安全なデスメ膜分離の目安となる。

“前房内の空気はbig bubbleが形成されると周辺に移動するため、その動きでデスメ膜分離が成功したかどうかがわかる。一旦、デスメ膜が角膜実質から分離されれば、実質組織の切除は比較的容易である。” – Matt Hasson

  • 島﨑 潤医師(MD, PhD)の連絡先:東京歯科大学市川総合病院眼科、〒272-8513 千葉県市川市菅野5-11-13:電話+047-322-0151;ファックス:+047-325-4456;Eメール: jun@eyebank.or.jp