シクロスポリンA点眼液が移植片対宿主病に伴うドライアイ症状を緩和する可能性
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造血幹細胞の骨髄移植例において移植片対宿主病(GVHD)を合併した場合、それに伴うドライアイ症状はシクロスポリンA点眼によって緩和できる可能性が報告された。
GVHDの眼症状としては、ドライアイがもっとも多く観察される。
"GVHDの眼症状は骨髄移植から6カ月以降に現れることが多い"と著者らは述べている。"したがって、患者に眼症状が現れる前に眼科医に紹介することで、早期介入が可能になり、眼表面障害を緩和することが可能になる。"
81名162眼を対象としたレトロスペクティブ試験では、患者は造血幹細胞移植の1カ月前からRestasis(シクロスポリンA点眼液0.05%、アラガン)を毎日2回両眼に点眼した。対照群の24名48眼では移植後最短6カ月以降からシクロスポリンAの点眼を開始した。
研究者らは眼表面染色、涙液層破壊時間(BUT)、シルマーテストを実施して複合的にドライアイのグレード評価を行った。経過観察期間値は17.5カ月であった。
3カ月および2年時点で対照群は治療群と比較して有意にドライアイ症状が重篤であった(それぞれP = 0.04、 P = 0.03)。
治療群のシルマースコアは1年後時点で有意に高く、1年時点での涙液層破壊時間が10秒以下であった例は治療群で90.6%、対照群で42.9%であった(P = 0.01)。
Reference:
- Cornea. 2010;29(12):1392-1396.
移植片対宿主病(GVHD)は骨髄移植例に非常に多い合併症であり、基本的にドライアイ発症機序におけるTリンパ球の重要性を示す実験のように考えられている。骨髄移植を受ける患者の50%を超える例でドライアイが発症するため、著者らはこれらの患者を市販のシクロスポリンA、0.05%点眼液(Restasis)によって事前に治療を開始する試験方法を採用している。このグループの観察結果は、事前に治療を開始した患者において、ドライアイの兆候と症状が圧倒的に改善していたことを示している。この報告は、骨髄移植を受ける患者において、シクロスポリン点眼による眼疾患の予防法の有効性を確立するものである。加えて、この報告は他のハイリスク患者において、ドライアイの進行を予防する早期治療は有益である可能性を示唆する重要な報告であると言える。
Eric D. Donnenfeld, MD
OSN角膜・眼表面疾患委員会理事
開示情報:Donnenfeld氏はアラガンのコンサルタントとして報酬を受け取っている。